【札幌市北区】札幌サンプラザ前に設置されたのは……? 引退車両「市電248号」がふるさとへ帰還。
2022年5月のある日、札幌市北区北24条エリアの中心部を歩いていると、本来ここにはないはずのものを発見。
その発見したものとは、札幌市電の車両です。コンサートホールや宿泊施設のある「札幌サンプラザ」の建物前に、その車両は清閑な雰囲気で佇んでいます。
札幌市電は、設備・車両を札幌市交通局が保有し、運行を札幌市交通事業振興公社が担当する路面電車。現在は「西4丁目」停留所を起点として、「すすきの」や「中央図書館前」など札幌市中央区内に23カ所の停留所があります。
北区に住んでいると、大通方面に出かける用事でもない限り普段あまり目にする機会のない市電車両。では、なぜ札幌サンプラザの前に設置されているのでしょう?
調べてみると、どうやらこの市電車両がここに設置されたのは2022年の4月下旬。そのきっかけは、ある市電ファンによる「市電の歴史を紡ぐ史電プロジェクト」の立ち上げだったそう。
実はこの札幌サンプラザが建っている土地は、かつて市電の車庫「幌北車庫」が建っていました。まだ市営地下鉄もなく、北区にも市電が走っていた頃の時代です。札幌オリンピックの招致にともない地下鉄が開通し、やがてその車庫や、北24条まで走っていた市電路線も廃止。
そうした歴史もあり、今回、北区で生まれ育った建設会社社長の角川さんが、「60年現役で頑張ってきた引退車両を、縁のある幌北車庫跡地に戻して永久保存したい」とクラウドファンディングを立ち上げた結果多くの賛同が集まり、こうして札幌サンプラザ前の車両設置が実現したのです。
設置されているのは、廃車車両「市電248号車」。チェーンで囲まれているので車両の中に入ることはできませんが、今後、北24条商店街のイベントでの活用や鉄道ファンへの開放も検討しているそう!
60年実際に運行していた車両だけあって、年季の入っている印象の248号。眺めているだけでもなんだか札幌の歴史を感じられますし、「長い間お疲れ様」と声をかけたくなります。鉄道ファン、市電ファンならずとも、機会があれば248号車両を間近で見てみて下さいね。